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創立125周年事業 the 125th anniversary project

リレーシンポジウム2014シリーズ

史学会創立125周年を記念し2014年に全国4ヶ所で開催されたシンポジウムの成果が、4冊のシリーズに書籍化されました。(四六判 240~260頁 各本体2,000円+税)

大阪大学歴史教育研究会・公益財団法人史学会編『教育が開く新しい歴史学』(史学会125周年リレーシンポジウム1 2014)山川出版社、2015年

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 史学会の125周年を記念し、歴史学の今を眺望するという旗印のもと、全国4カ所で開催されたシンポジウムの成果をシリーズにした1冊。歴史教育の危機的現状に対し、改善を系統的に担うことができる研究者、教員の養成には何が必要かを問う。

  はじめに・・・桃木 至朗
 第Ⅰ部 阪大史学の挑戦
  阪大史学系の歴史教育改革・・・桃木 至朗・堤  一昭・秋田  茂・飯塚 一幸
  歴史学若手研究者の連携と協働に向けて・・・中村  翼・後藤 敦史・向  正樹・中村 武司
  大阪大学歴史教育研究会 活動記録…大阪大学歴史教育研究会事務局  第Ⅱ部 大学・学界から考える
  歴史教育のジェンダー主流化へ向けて――日本学術会議ジェンダー史分科会などの取組から・・・小浜 正子
  東京外国語大学における東南アジア「地域基礎」の試み――東南アジア史教育の視点から・・・青山 亨
  グローバル・ヒストリーの担い手――新しい研究者養成と学界の課題・・・水島  司
 第Ⅲ部 ひろがる連携
  京都高社研の高大連携活動から・・・庄司 春子・毛戸 祐司・後藤 誠司
  地方国立大学の視点から――静岡歴史教育研究会の挑戦・・・岩井  淳
  大学付属高等学校における汎用的な歴史教育の実践と課題――高大接続・連携をめざして・・・皆川 雅樹
  「学生報告」という挑戦――福岡大学西洋史ゼミの試み・・・池上 大祐・今井 宏昌
  わかる歴史から、考え実践する歴史へ――同志社大学の取組と構想・・・小川原 宏幸・向  正樹

東北史学会・福島大学史学会・公益財団法人史学会編『東北史を開く』(史学会125周年リレーシンポジウム2 2014)山川出版社、2015年

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 東日本大震災の経験を歴史学界ではどう受け止めるべきか、また「東北」という地域の枠組み、さらに「中心―周縁」という捉え方の問題などを考える。

  はじめに・・・柳原 敏昭
 第Ⅰ部 災害と地域
  災害が映す歴史――2011年東日本大震災デジタルアーカイブにみる東北史・・・アンドルー・ゴードン
  近世の東北に成立した海岸防災林・・・柳谷 慶子
 第Ⅱ部 中心と周縁
  蝦夷を問う者は誰か――蝦夷論の構造をめぐる問題・・・藤沢  敦
  京にのぼる鮭――仙台藩重臣と公家との産物贈呈について・・・籠橋 俊光
  近代東北の「開発」と福島原発事故・・・岩本 由輝
  ローマ帝国の北アフリカにみる「中心」と「周縁」・・・大清水 裕
  中国史における中央と周縁――唐代の内陸境界地帯を例に…石見 清裕
  言語接触と文化移転――西欧前近代の事例から…原   聖
 第Ⅲ部 地域の枠組みを問う
  戦国期南奥の政治秩序・・・阿部 浩一
  「県域」の形成過程――東蒲原郡の移管問題・・・徳竹  剛
  東北地方と新潟県――昭和戦前期における地域振興と地域区分・・・伊藤 大介
  イングランドの「東北」史・・・有光 秀行
  おわりに

公益財団法人史学会編『災害・環境から戦争を読む』(史学会125周年リレーシンポジウム3 2014)山川出版社、2015年

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 史学会の125周年を記念し、歴史学の今を眺望するという旗印のもと、全国4カ所で開催されたシンポジウムの成果をシリーズにした1冊。今まで取り上げられることの少なかった自然災害や環境を、歴史のアクターとして登場させ、戦争との関係を問うことで、新しい視点から世界を展望する。

  はじめに・・・姫岡 とし子
 第Ⅰ部 戦争と災害
  南部アフリカ植民地の戦争と災害――リンダーペスト・干魃・飢餓・・・永原 陽子
  戦時災害リスクの構造と管理社会化――中国の戦時動員と災害…笹川 裕史
  総力戦体制下の日本の自然災害――敗戦前後を中心に…土田 宏成
  災害・環境から古代中国の戦争を読む…鶴間 和幸
  南海トラフ大地震と『平家物語』…保立 道久
 第Ⅱ部 戦争と環境
  第一次世界大戦の環境史――戦争・農業・テクノロジー・・・藤原 辰史
  第一次世界大戦中ドイツでの戦時支援と女性の地位・・・姫岡 とし子
  関東大震災と日ソ関係――局地紛争の時代の災害・・・池田 嘉郎

九州史学会・公益財団法人史学会編『過去を伝える、今を遺す――歴史資料、文化遺産、情報資源は誰のものか』(史学会125周年リレーシンポジウム4 2014)山川出版社、2015年

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 史学会の125周年を記念し、歴史学の今を眺望するという旗印のもと、全国4カ所で開催されたシンポジウムの成果をシリーズにした1冊。公共考古学・アーカイブズ学を縦糸、歴史教育と研究を横糸とし、さらに資料・情報管理の現場と若い世代への継承を織り込みながら、記憶や記録を真に人々の共有財産として活かすにはどうしたらいいかを問う。

  はじめに・・・岡崎  敦
 第Ⅰ部 文化遺産管理の現場で
  対馬宗家文書の近現代――「宗家文庫」の伝来過程から・・・古川 祐貴
  歴史学とデジタル化――韓国の事例から・・・川西 裕也
 第Ⅱ部 資料、市民、公共性
  文化遺産の継承そして創造へ――参加型考古学を試みる・・・村野 正景
  アーカイブズ資料情報の共有と継承――集合記憶の管理を担うのは誰か・・・清原 和之
  高校世界史と教科「情報」――クリティカル・シンキングから歴史的思考力へ・・・吉永 暢夫
 第Ⅲ部 資料を越えて
  公共考古学の可能性・・・溝口 孝司
  現代の記録を未来へ――アーカイビングにかかわる責任の連続・・・中島 康比古
  歴史資料をめぐる「よそ者」と「当事者」――専門家的知性と市民的知性…市沢  哲

 

 

創立125周年記念事業のご案内

史学会125周年記念事業リレーシンポジウム2014史学会は去る2012年4月に公益財団法人に移行し、2014年には創立125周年を迎えます。これを機会に、全国学会としての新しい姿を示すとともに、歴史学の今とこれからを眺望するために、下記の通り2014年9月から4つの公開シンポジウムを各地で開催することになりました。
共同開催とシンポジウムの企画にあたっては、大阪大学歴史教育研究会、東北史学会と福島大学史学会、九州史学会ならびに全国各地の史学会会員の皆様から多大なご支援とご協力をいただき、先日の第111回史学会大会ですべての企画の趣旨をご紹介することができました。ここに企画の趣旨を掲載し、広く皆様のご参加をお願いする次第です。
なお、史学会大会の公開シンポジウムの詳細については、決まり次第ここに掲載する予定です。

リレーシンポジウム2014

史学会では学会創立125周年を記念し、2014年9月から12月にかけて各地で4つの公開シンポジウムを開催いたしました。
他の学会と連携をとり、東京以外の地でシンポジウムを開催することは、史学会として初めての試みでありましたが、各会場とも120~180名の参加者を得て盛会となり、議論も白熱した実り多いシンポジウムとすることができました。共催を快くお引き受けくださった大阪大学歴史教育研究会、東北史学会、福島大学史学会、九州史学会の皆様、ご協力くださった史学会会員、参加者の皆様に心より御礼申し上げます。
シンポジウムの成果は、2015年中に山川出版社より刊行される予定です。後日詳細をお知らせいたしますので、引き続きご関心をお寄せいただきたくお願いいたします。

リレーシンポジウム2014報告記事(『史学雑誌』124編1号掲載)は こちら

リレーシンポジウム2014大阪  リレーシンポジウム2014福島 

リレーシンポジウム2014本郷  リレーシンポジウム2014九州 

1.大阪大学歴史教育研究会との共催シンポジウム

「高大連携による大学歴史系専門教育・教員養成教育の刷新」
 2014年9月14日(日)13時~17時   大阪大学中之島センター

「高大連携」「歴史教育」などのコンセプトは歴史学界でも今や珍しくないが、実際の取り組みの大半は、担当者の専門に合わせたランダムな内容での、高校教育界への働きかけにとどまっている。本シンポジウムでは、そのレベルを超えて中等・高等教育や生涯教育を含めた歴史教育の改善を系統的に担うことができる研究者・教員の養成には、なにが必要かを主題とする。
ベースとして、もとになるべき専門研究のための指導から、それを土台にした教養教育・教員養成などに至る系統的な刷新を進めてきた大阪大学史学系の事例、これと連携した地域教員集団の組織的取り組み、さらに新しい領域としてジェンダー史教育における高大連携の成果などを紹介し、研究者養成の場、地方大学・私立大学と高校などそれぞれの立場からのコメントを受けて討議をおこなう。報告の方法も工夫して、「個人」の「専門」を絶対の前提条件とする史学系研究者のありかたと、こうした教育の取り組みとの矛盾も視野に入れたシンポジウムにできれば幸いである。

■問題提起■ 桃木 至朗(大阪大学)
■報  告■
(A)「阪大史学系の新しい教育」
    桃木 至朗・堤 一昭・秋田 茂・飯塚 一幸(大阪大学)
(B)「阪大歴教研の活動と若手のネットワーク」
    中村 武司(弘前大学)・向 正樹(同志社大学)・後藤 敦史(大阪観光大学)・中村 翼(大阪大学)
(C)「京都高社研の高大連携活動から」
    後藤 誠司(京都市立日吉ヶ丘高校)・毛戸 祐司(京都府立田辺高校)・庄司 春子(同志社高校)
(D)「ジェンダー史教育の取り組み」
    小浜 正子(日本大学)
■コメント■
(1)「地方国立大学の視点から」
    岩井 淳(静岡大学)
(2)「大学付属高等学校における汎用的な歴史教育の実践」
    皆川 雅樹(専修大学附属高校)

 *報告・コメントのタイトルは仮題です

 *大阪大学歴史教育研究会ホームページ http://www.geocities.jp/rekikyo/

2.東北史学会・福島大学史学会との共催シンポジウム       ※後援:福島県史学会

「東北史を開く-比較の視座から-」
 2014年10月5日(日)10時30分~16時30分  福島大学L講義棟L-4教室

東北は、日本列島「中央」部に国家が誕生して以来、特別な地域とされてきた。「周縁」として位置づけられ、住民が異民族視されたり、時には「征伐」の対象とされたりした。反面、「中央」を支える役割も担わされた。原発事故を含む東日本大震災は、かかる東北の一面を浮き彫りにしたといえるであろう。福島を会場として開催される本シンポジウムでは、右のことを歴史的な観点からあらためて問い直したい。
一方、地球規模で見れば、東北のような立場におかれ、あるいは役割を担わされた地域は、いくつもあったはずである。本シンポは、こうした地域との比較によって、東北の位置を世界史的な視野から考えることも眼目とする。
とはいえ、東北が歴史的に一つでなかったことも事実である。東北それ自体が多様な地域から成り立っていることに配慮する必要がある。また、いたずらに悲観的になることや運命論に陥ることは避けなければならない。東北には独自の風土の中で産業や文化が育ち、北方世界をはじめとする諸地域との間に活発な交流があった。人々は厳しい自然と向き合い、度重なる災害から復興を遂げてきた。先人の歩みから今後に活かせることを汲み取り、希望や可能性も見出したいと思う。

■趣旨説明■ 柳原 敏昭(東北大学)
■講  演■
 災害が映す歴史:2011年東日本大震災デジタル・アーカイヴにみる東北史
  アンドルー・ゴードン(ハーバード大学)
■報  告■
 1:蝦夷を問う者は誰か―蝦夷論の構造をめぐる問題―
  藤沢 敦(東北大学)
 2:戦国期における南奥の地域性
  阿部 浩一(福島大学)
 3:近世東北の海岸防災林
  柳谷 慶子(東北学院大学)
■コメント■
  石見 清裕(早稲田大学)、大清水 裕(滋賀大学)、原 聖(女子美術大学)

 *講演・報告のタイトルは当日変更となる場合があります
  *会場への臨時バス等、詳細情報はちらしをご確認ください

3.史学会大会公開シンポジウム

「近代における戦争と災害・環境」
 2014年11月8日(土)11時~17時  東京大学本郷キャンパス法文2号館1番大教室

2014 年は、第一次世界大戦開戦100周年にあたる。これにちなんで近代における戦争を取りあげ、災害と復興がキーワードに入っている東北史学会・福島大学史学会との合同シンポジウム(「東北史を開く」)を念頭において、戦争と災害および環境との関連について考える。地域の戦争は人類最大の人為的災害であり、環境破壊でもある。また戦争は、平時には見られない独特の環境を作りだすとともに、従来の環境を劇的に変化させる。近代の工業国家間の戦争では、もはや自然災害が戦争の原因になることはないが、時期や地域によっては、旱魃や不作、家畜の疫病などが人びとの生活を圧迫し、蜂起や紛争、植民地戦争の導火線となった。不凍港や鉄道などのインフラ環境も、戦争の原因となった。今回のシンポジウムでは、災害や環境を、自然のものと人為的なものの二つの意味でとらえ、戦争原因、被害と加害の様相、戦争災害の予防、戦争によって作られ変化する環境などについて取りあげて、前線と銃後との相互関係に留意しながら戦争をさまざまな角度から検討する。また戦争の考察期間も、原因・準備過程・遂行時・帰結・長期的影響という長いタイムスパンが対象となる。近代の戦争を扱うので、20世紀の二つの世界大戦はもちろん重要な考察対象となるが、今回は、日本史・東洋史・西洋史という枠組みを超えてアフリカを含め、アフリカの戦争や近代の戦争理解にとって不可欠な植民地戦争も取りあげる。

■趣旨説明■ 姫岡 とし子(東京大学)
■報  告■
 1:南部アフリカにおける戦争と環境―第一次世界大戦を中心に―
  永原 陽子(京都大学)
 2:第一次世界大戦の環境史
  藤原 辰史(京都大学)
 3:第二次世界大戦前後における日本の自然災害
  土田 宏成(神田外語大学)
 4:1940年代中国の戦時統制と災害
  笹川 裕史(上智大学)
■コメント■
 1:古代中国史の観点から
  鶴間 和幸(学習院大学)
 2:日本中世史の観点から
  保立 道久(東京大学)
 3:近現代ドイツ史およびジェンダー史の観点から
  姫岡 とし子(東京大学)
 4:近現代ロシア史の観点から
  池田 嘉郎(東京大学)

 *報告のタイトルは仮題

4.九州史学会との共催シンポジウム

「過去を伝える、今を遺す ―歴史資料、文化遺産、情報資源は誰のものか」
 2014年12月13日(土)13時~17時30分  九州大学箱崎理系キャンパス 旧工学部本館大講義室

歴史学と社会との関係については、従来歴史認識をめぐる問題が主として議論されてきた。しかしながら、歴史研究者が過去の事実の反映とみなしがちな「史料」をめぐっても、近年多様な議論がみられる。
そもそも資料は、歴史研究者のために作成、伝来されてきたものではなく、その価値についての議論も、研究者の独占物ではありえない。過去は、現在の政治、社会状況のもと、さまざまな立場の人間にとって多様なかたちで現れる。それでは、過去について考えるための素材であり、主張の証拠でもある資料や遺産について、正当な権利を有する者とは誰なのだろうか。歴史や記憶の継承の前提に「過去を伝え、今を遺す」必要があるなら、それはどのような行為であり、誰の責任と負担のもとでなされるべきなのだろうか。
このシンポジウムは、パブリック・アーケオロジーとアーカイブズ学を縦糸、歴史教育と研究を横糸とし、そこに資料・情報管理の現場と若い世代への継承の問題を織り込みながら、記憶や記録を真に市民の共有財産として活かすための議論の場としたい。このことは、研究者が行っている歴史学の社会的意義、さらには学問的性格を再考することにもつながるはずである。

■問題提起■ 岡崎 敦(九州大学)
■報  告■
 1:考古学の現在と未来―公共考古学の位置価の視点から―
  溝口 孝司(九州大学)
 2:アーカイブズ資料情報の共有と継承―Web2.0時代の情報管理と責任―
  清原 和之(九州大学)
 3:高校世界史と教科「情報」―クリティカル・シンキングから資料リテラシーへ―
  吉永 暢夫(修猷館高校)
 4:歴史資料をめぐる「よそ者」と「当事者」―専門家的知性と市民的知性―
  市沢 哲(神戸大学)
■コメント■
  村野 正景(京都文化博物館)
  古川 祐貴(対馬歴史民俗資料館)