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学会概要

歴史学の発展をめざして――理事長挨拶

史学会は、1889 年(明治22 年)11 月に創設された、日本を代表する歴史学の学術団体です。創設以来、日本史、東洋史、西洋史といった枠を越えて、歴史研究者や歴史学に関心を寄せるすべての人々に開かれた学会として活動を続けてまいりました。1929 年に財団法人となり、さらに、2012 年4 月より開かれた公益財団法人としての新たな一歩を踏み出しました。

史学会の活動の第一の柱は、学会誌の刊行です。この学会誌は1889 年12 月に『史学会雑誌』として創刊され、その後『史学雑誌』と改称されて現在に至っています。『史学雑誌』は優れた歴史学の論文や書評などを掲載してまいりましたが、2020 年現在で、第129 編となっています。毎月1号ずつ刊行していますが、5月に刊行される第5号は、歴史学の動向が俯瞰できるように、前年の日本における歴史学界の成果と課題を検討する特別号「回顧と展望」となっております。

史学会の活動のもう一つの柱は、毎年秋に開かれる年次大会です。この大会では会員が研究発表を行う各部会のほか、歴史学一般に関わるテーマや興味深い特殊なテーマを掲げた公開シンポジウムなどを企画しています。

このたび髙山博前理事長のあとをうけて、重責をになうことになりました。疫病蔓延のなか、多くの制限をうけ、学会活動も研究活動も厳しい現状にあります。しかしこうした先の見えない不安な状況だからこそ、人文学あるいは歴史学の「知」が必要とされていると思います。歴史学研究のより高い水準を求めて、みなさまのご協力を切にお願いします。

二〇二〇年七月   理事長 大津 透 

 

 

沿革

史学会は、1889年(明治22年)、帝国大学文科大学史学科の外国人教師であったドイツ人リースの呼びかけによって生まれました。リースは、史学の発展には、研究会を組織し、機関誌を発行することが必要であると力説し、学生たちの賛同も得て、会の設立と『史学会雑誌』の刊行とを実現しました。『史学会雑誌』は、その後『史学雑誌』と名を変え、第二次大戦後の一時期を除いて月刊雑誌として刊行が続けられてきました。
戦中から戦後にかけては、史学会も大きな苦難の道を歩みました。時局の流れから国家主義的な歴史学の影響を史学会も大きく受け、戦後はその反動もあって会の活動は一時停滞を余儀なくされました。1938年(昭和13年)時点で1,450余名を数えた会員数は、400名足らずに減少しました。しかし、新たに若手の研究者が委員会を組織するなど、会の活動を担うようになったことで史学会は再生し、新たな出発をなすことになりました。以来、歴史学を総合的に網羅する全国学会として、今日まで広く活動を行っています。 会員数は、2019年3月現在約2,300名を数えています。